なぜ今、就労支援で「本格的な農業」が選ばれるのか?
一般的に就労継続支援A型事業所というと、室内での「袋詰め」や「簡単な組立」といった軽作業をイメージされることが多いかもしれません。しかし今、体力への不安を技術や環境整備でカバーし、キャリアとして農業に取り組むスタイルが注目されています。
この章では、単なる作業ではなく「仕事」としての農業について考える視点を提示します。機械化や設備の工夫が進んだ現代の農業が、どのように障害のある方の可能性を広げるのか、その理由をお伝えします。
「軽作業だけ」では物足りないあなたへ
私たちは、障害のある方の多くが「単純作業の繰り返し」に飽き足らず、より高度なスキルや手応えのある仕事を求めていることを知っています。
誰かが決めた手順通りに動く「作業」と、天候や作物の状態に合わせて工夫する「農業」とでは、得られる自己肯定感(やりがい)が大きく異なります。室内で黙々と手を動かす内職も大切な仕事ですが、広い空の下で、自分が育てた野菜が形になる喜びは、農業ならではの特権です。
私たちは、袋詰めなどの軽作業だけでは満足できない方にこそ、自然の中で「生産する喜び」を感じていただきたいと考えています。
本格的な農業機械の導入。環境整備がもたらす可能性
「農業=きつくて汚い、重労働」というイメージは、もはや過去のものです。私たちは、体力に自信がない方でも第一線で活躍できるよう、積極的な機械化や作業環境の改善を進めています。
現在、私たちは2台のトラクターを保有しており、人力で耕せば何日もかかる広大な畑を短時間で整地しています。このような機械化による効率的な農場管理を間近で体感しながら、利用者は単なる労働力としてではなく、本格的な農業のプロセスに関わるプロフェッショナルとして活躍できるのです。
また、ビニールハウス内での水耕栽培では、設備を工夫し、腰への負担が少ない「立ち作業」を採用しています。働きやすい環境を整えることで、障害の有無に関わらず、誰もが無理なく仕事に取り組むことができます。
ワークスタジオ亀岡が目指す「プロ育成」の現場
ここからは、私たちが提供する具体的な環境と指導方針についてご紹介します。
ワークスタジオ亀岡(株式会社ぎばさん)は、単なる農作業体験の場ではありません。市場に通用する野菜を生産し、販売する「ビジネスとしての農業」を学ぶ、言わば職業訓練校のような実践的な現場です。
有機農業歴15年のプロが教える「本物の技術」
未経験から農業を始めるにあたり、「見よう見まね」だけでは本当の技術は身につきません。私たちには、有機農業歴15年以上の実績を持つ農場管理責任者が在籍しており、感覚や経験則だけでなく、言葉で説明できる論理的な指導を行っています。
土作りの基礎から、種まき、育成管理、そして収穫後の出荷調整まで。一貫したプロセスを丁寧に指導するため、農業経験が全くない方でも着実に専門知識を習得できます。
「なんとなく野菜ができた」ではなく、「狙って良い野菜を作った」という成功体験を積み重ねることが、自信を持って働き続けるための土台になると私たちは確信しています。
野菜クズを資源に。「循環型農業」で環境に配慮する
私たちが大切にしているのは、野菜を作ることだけではありません。農作業の中で出た野菜クズや残渣(ざんさ)はそのまま廃棄せず、畑にすきこむことで、再び土の栄養として還して次の野菜を育てる「循環型農業」の実践にも力を入れています。
通常であれば廃棄されてしまうものを、農場の資源として活用する。このサイクルの一翼を担うことで、利用者の皆さんは単に賃金を得るだけでなく、「自分たちの仕事が環境に配慮した農業につながっている」という誇りを持つことができます。
「社会の役に立っている」という実感は、長く仕事を続ける上で何よりのモチベーションになります。私たちは農業を通じて、社会に貢献する喜びを提供し続けます。
「働きやすさ」と「挑戦」を両立する環境づくり
新しいことに挑戦するには、安心して過ごせる「土台」が必要です。
この章では、利用者の皆さんが長く働き続けられるよう、私たちが整えている生活面と精神面のサポート体制、および一般就労を見据えたステップアップについて解説します。
最低賃金保証と充実した福利厚生
私たちは就労継続支援A型事業所として、安定した収入と働きやすい環境を約束します。生活の不安なく業務に集中できるよう、以下の待遇と福利厚生を用意しています。
- 給与保証: 時給1,122円(京都府最低賃金)を保証し、経済的な自立を支援します。
- 食の支援: 農家ならではの特典として、出荷規格外の野菜を無料で持ち帰ることができます。また、農産物の社内割引販売も行っています。
- 送迎体制: 亀岡事業所から農場への送迎はもちろん、八木駅からの送迎ルートもあり、自力通勤が難しい方でも安心して通所できます。
私たちは、「食べることは生きること」と考えています。安定した賃金と豊かな食材提供を通じて、心身ともに健康的な生活をバックアップします。
失敗しても大丈夫。「次どうするか」を考える指導方針
新しい仕事に挑戦する際、「失敗したら怒られるのではないか」という不安はつきものです。しかし、私たちは「失敗は学ぶチャンス」であると捉えています。
私たちの方針は「成長と委任」です。業務を習得した利用者には積極的に仕事を任せ、責任感と自信を育んでもらいます。もし作業でミスが起きても、一方的に叱責することはありません。
「なぜ失敗したのか」「次はどうすればうまくいくか」を指導員と一緒に考え、対策を見つけるプロセスを大切にしています。この心理的な安全性が確保されているからこそ、利用者は萎縮することなく、新しい業務にも積極的にチャレンジできるのです。
まずは「農場の空気」を感じに来ませんか?
ここまで私たちの取り組みをお読みいただき、ありがとうございます。しかし、文章だけでは伝えきれないことがあります。
トラクターのエンジンの音、広大な畑を吹き抜ける風、そして自分たちの手で育てた野菜の重み。これらは現地でしか味わえない感覚です。
「自分にもできるだろうか」「雰囲気を見てみたい」と思われた方は、ぜひ一度、見学や体験利用にお越しください。
百聞は一見に如かず。
実際に農場の空気を感じ、私たちが働く姿を見ていただければ、きっと「ここでなら頑張れるかもしれない」という新しい可能性を感じていただけるはずです。私たちスタッフ一同、あなたの一歩をお待ちしています。